刑部先生の青空教室 第一回
刑部「僕だよ」
夏緒「自己紹介ぐらいしてください。先生」
刑部「先生は禁止」
夏緒「恭一郎さん。ちゃんと挨拶から始めてください」
刑部「美しい僕だ」
夏緒「なーーーーーまーーーーーーえーーーーーーーーー!!」
刑部「わっ、わかったよ、言うからそんな鬼のような形相で美しい僕に近寄らないでくれ」
夏緒「悪かったですね。鬼のような形相で」
夏緒「ごほんっ、改めまして。こんにちは。プレイヤーこと、琴平夏緒と申します。こちらは刑部恭一郎さんです。帝都随一の名探偵であり迷探偵と呼ばれています。こう見えましても公爵の称号を持っています。ちなみに、私は名前のみ変換可能です」
刑部「待ちたまえ。君はいちプレイヤーという位置づけなのだろう? 何故にここにいる」
夏緒「乙女ゲーでは無いからです。あと……―――(ぼそ)先生の相手できる人が私しかいないんですよ」
刑部「なんだって?」
夏緒「ほほほほ。なんでもございません。どうでも良いんですが迷探偵と呼ばれる事は良いんですか?」
刑部「一般市民に美しい僕を理解しろという方が無理だろう? 君はあれか? 猿に数学を教えて判ると思うのかい?」
夏緒「……」
刑部「さて、これからどうしろと?」
夏緒「あ、そうでした。今回はストーリー説明をしたいと思います」
刑部「なるほど。ではやりたまえ」
夏緒「はいはい」
夏緒「―――時は大昭24年。花も華やぐ帝都に一人の名探偵がいた。帝都の人間であれば誰でも名を知っているその人の名は、刑部恭一郎。そこに一人の少女が現れる。少女の名は琴平夏緒。物語の始まりは、四月一日の朝、琴平家長男である琴平誠一が自殺を遂げる事から始まる。兄である誠一は事件性皆無と判断され自殺―――と言うことで事件は解決された。だが少女はそれに納得がいかず、兄が誰に殺されたのかを突き止めるため名探偵のもとへと現れたのだった」
刑部「ふむふむ」
夏緒「これが物語の始まりですね。ああ、そうです。大昭というのは誤字ではありません。このお話自体が大正時代から昭和初期のイメージで進む物語となっていますので敢えてこう言った字を当てさせていただきました」
刑部「君はばかだねぇ。そんなの判り切っているだろうに」
夏緒「あら、どうしてそんな事が言えるのですか?」
刑部「夏緒お嬢さん―――【たいしょう】と入れたら【大正】もしくは【対象】が大体出るだろうに」
夏緒「……ああ、ですがパソコンによっては【大昭】と、出てもおかしくは無いかと思います。中には【たい】と【しょう】と別れて変換するようなものもありますから」
刑部「ではなにかい? 【た】と【いしょう】で分かれて【た衣装】と出てもおかしくないという事になるぞ?」
夏緒「おっしゃる通りです」
刑部「夏緒お嬢さん、それを世では何と言うか知っているかい?」
夏緒「何でしょうか?」
刑部「揚げ足を取るというんだよ」
夏緒「そっくりそのままお返しします」
刑部「……」
夏緒「……」
刑部「時に、何故僕と君が険悪な空気にならなくてはいけないんだい?」
夏緒(それは貴方が余計な事を言うからでしょう)
刑部「まぁ良いか」
夏緒(良いの!?)
刑部「ほら、夏緒お嬢さん。早いところジャンルの説明をしなさい」
夏緒「あ、そうでしたね。ジャンルは【サスペンス推理AVG】となります」
刑部「つまりはきみ自身で推理するために色々」
夏緒「その説明はまた今度でお願いします!」
刑部「……ちぇ」
夏緒「……それで可愛いと思われるなんて思わないで下さいね」
刑部「君は僕に辛辣すぎやしないかい?」
夏緒「とんでもないです。と、そろそろお時間が参りましたね。それではこのあたりで失礼します」
刑部「次回更新は?」
夏緒「来週ですね。第二回は登場キャラクターの紹介となります」
刑部「それでは。オルヴォワール」
夏緒(な、何で仏語?)