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微笑む。笑う。僕は一体どういう顔で笑っているのだろう。
女の顔で笑っているのだろうか。

エラが、ごくりと息を飲み込むのが判った。そうして、彼の瞳に僕が映る。
僕の顔が、私の顔が、艶やかに、誘うように。男を誘惑するような。それは何時か見た娼婦の顔だった。

否否否、そんなものじゃない。単純にこれは……ただ、目の前の男を欲しているだけだろう。
何時からだろう。憶えていない。僕は一体いつからこの男の事をそういう目でみていたのだろうか。

ベルナール「エラ」

唇を動かす。それから、ゆっくりと―――僕は彼の名前を呼んで。

エラ「―――っ」

綺麗な顔、美しい顔。けれど、それに似合わない男の手。骨ばっていて、仕事ばかりの手はガサガサしている。その手が僕を捉えていく。
引き寄せられる。抱きしめられる。
息も出来ないほどに口づけられる。
何度も何度も口づけて、何度も何度も息を交合わせて。僕は彼の熱を感じながら薄く微笑み。唇に手を当てた。彼の、かさかさに乾いたくちびるに。
皮肉った顔で彼は僕を見降ろす。それから眉をしかめて―――