【サンプルシナリオ】
今にして思えば、何て酷い事を言うんだろうと思える。だけど、当時の私にそれが判るわけがなくて。ただ、私は申し訳ないと思ってしまった。
この人の、たった一人の親戚である彼の手を煩わせる事が。
【蓮】「行くよ、真理亜」
【真理亜】「……はい」
【蓮】「後片付けは業者の人がしてくれるから」
【真理亜】「はい」
【蓮】「……なんで……」
ポツリと聞こえた言葉。
―――なんで、俺が引き取らないといけないんだよ……―――
悲しくて、悲しくて……だけど、それすらも申し訳なくて……
大袈裟な言い方、世界がすべて敵に思えた。
だから私は、持っていた薄汚いボロボロのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるほか無かった。