【サンプルシナリオ】
どちらにしても、もっと別の何かがあったのかもしれない。
宗ちゃんも、私も、ここに来る時は落ち込んだ時とか、一人で居たい時だから。
【真理亜】「……」
いつか、私の病気の事を言う時が来るんだろうか。
私は、騙しているのかな? 宗ちゃんを、風ちゃんを……
握られた手に、じんわりと汗が広がる。だけど、不思議と手を離す気にはなれなくて。
【真理亜】「……宗ちゃん、あのね?」
【宗佑】「ん?」
【真理亜】「……―――ううん。なんでもない」
言える、訳がなかった。言える訳がない。言えないじゃないか。
どうして言える? どうやって伝えられる?
私は感情が失くなる病気に罹っています。だから、もしかしたら近い将来人形のようになるかもしれません。
そんな事を、どうして言えるだろうか。
なんとなく、この『ドール』という病気は……ただ死を待つだけの病気よりも残酷な病気な気がした。